官報とは何か
官報に掲載される事項としては、例えば、以下のものが挙げられます。
公文(政府や各府省などが公布する文書)
- 法律、政令、条約
- 大臣や各省庁などの人事異動
- 国に貢献した人物への叙位・叙勲・褒章
- 最低賃金や国家試験に関する事項
公告(国や各府省、地方公共団体、特殊法人、裁判所などからの告知)
- 競争入札に関する告知
- 法律で公告が義務付けられている内容
破産や個人再生に関する裁判所の公告もこれに含まれます。裁判所による公告としては、他に、相続管理人の選任、失踪宣告、除権決定などがあります。 - 会社の決算公告等
自己破産の場合、破産手続開始決定や免責許可決定は、裁判所によって「公告」がなされます。「公告」とは、国や地方公共団体、裁判所などがある事項を広告・掲示などで広く一般に知らせることをいいます。そして、破産法の規定による「公告」は、官報に掲載して行うことになっています(破産法10条)。
個人再生の場合も、個人再生の手続開始決定や再生計画認可決定などは、裁判所によって「公告」がなされます。そして、民事再生法の規定による「公告」は、官報に掲載して行うことになっています(民事再生法10条)。
自己破産や個人再生の手続きにおいて、なぜ官報による「公告」がなされるかというと、債権者その他利害関係者に事実を知らせることにより、(例えば、破産手続において債権者が適正な配当を受けるなど)手続きへの参加の機会を与えるためであると考えられます。
なお、裁判所の決定日に官報に掲載されるわけではなく、官報への掲載は、多くのケースで決定日から2週間くらい後になります。
官報の内容を確認する方法
官報販売所での購入
各都道府県の官報販売所に出向いて購入する方法、官報販売所にメールや電話で注文し、代金を支払って郵送してもらう方法があります。官報販売所の所在地などは、全国官報販売協同組合のホームページの官報販売所一覧でご確認いただくことができます。
インターネットでの閲覧
直近30日分の官報情報については、国立印刷局のホームページの「インターネット版官報」により誰でも無料で閲覧することができます。
それより前の官報情報については、「官報情報検索サービス」という会員制の有料サービスに登録して閲覧するという方法があります。
図書館
図書館の端末で「官報情報検索サービス」を利用することもできます。この方法であれば、直近30日分だけでなく、それより前の官報情報を含めて閲覧することができます。
どのような情報が官報に掲載されるか
- 破産(同時廃止)の官報公告の掲載例
- 破産(同時廃止)では、このように破産手続開始決定と破産手続廃止決定が同時になされ、その旨の官報公告がなされます。
- また、免責許可決定の官報公告もなされます。
- 破産(管財事件)の官報公告の掲載例
- 破産(管財事件)では、まず破産手続開始決定がなされ、その旨の官報公告がなされます。
- また、破産手続終結決定や免責許可決定の官報公告もなされます。
- 個人再生の官報公告の掲載例
- 小規模個人再生では、手続開始決定、書面決議に付する決定、再生計画認可決定について、それぞれ官報公告がなされます。
官報に掲載されたことが周りの人に知られてしまうリスク
自己破産や個人再生をしたことが周りの人に知られてしまう可能性が高くないといえる理由は、一般の人が官報を確認することは稀だからです。自己破産や個人再生をした人などを調べるために官報を定期的に確認するのは、例えば、以下のような業者や機関など、一部に限られます。
- 金融機関やクレジットカード会社
金融機関やクレジットカード会社にとって、契約者が自己破産や個人再生をしたことは重要な情報であり、影響が大きく、場合によっては手続きに参加する必要があります。そのため、官報を確認する必要があります。
- 不動産などの仲介業者
不動産などの仲介業者が官報を確認するのは、例えば、破産管財人にダイレクトメールやFAXを送り、破産管財人が財産を換価・処分するときに自社の利用を促したりするためです。
- ヤミ金業者
ヤミ金業者が官報を確認するのは、自己破産や個人再生をしてブラックリストに載ってしまい、借入れができない人を狙ってお金を借りさせ、法外な利息を取り立てるためです。破産や個人再生をした後は、ヤミ金業者からダイレクトメールなどで勧誘が来るおそれがありますが、応じないように注意することが必要です。
このように官報を定期的に確認するのは、一部の人に限られており、官報に掲載されることを過度に恐れる必要はないといえます。一方で、官報は誰でも閲覧することができるというのも事実であり、自己破産や個人再生をしたことが誰かに知られてしまう可能性が常にあります。この点は、破産や個人再生を利用する上でデメリットの一つといえます。