自己破産– category –

 自己破産とは、裁判所への申立てにより、「支払い不能」であると認めてもらった上で、原則として借金の返済を免除してもらう手続きのことです。

 自己破産の特徴は、原則として借金の返済が全額免除されるという大きな効果を得ることができる一方で、基本的には自宅や車などの財産を処分しなければないことにあります。

 自己破産について、弁護士との法律相談から着手~申立て~破産手続開始決定、免責許可決定までの流れは、「自己破産の手続きの流れ」をご確認ください。

自己破産のメリット

免責によって、基本的に借金の返済を免除してもらえる

  • 自己破産では、裁判所から免責の許可を受けて確定することにより、借金の返済を免除してもらうことができるため、生活の立て直しが期待できます。(⇒破産手続と免責
  • もっとも、税金など一定の債権については、免責が認められません。(⇒非免責債権
    また、浪費が認められるなど借金に至った経緯によっては、裁判所が免責を認めない場合があります。(⇒免責不許可事由

破産開始決定後に得た財産、所得は、自分のものにすることができ、生活の立て直しができる

  • 破産開始決定後に得た財産(新得財産)は、自己破産の手続きで処分・換価の対象となりません。そのため、破産開始決定後の給与などは、そのまま手元に残し、あるいは自由に使うことができ、生活の立て直しを図ることができます。

給与などの差押えが取消し・停止になる

  • 管財事件の場合、破産開始決定によって強制執行手続きはその効力を失うため、その後の給与を受け取ることができるようになります。また、同時廃止の場合は、破産開始決定によって強制執行手続きは中止となり、その後、免責が確定することによって強制執行手続きは効力を失うため、その後の給与を受け取ることができるようになります。

受任通知を送ることで、基本的に請求・督促が来なくなる

  • 弁護士から各債権者に対して受任通知を送ることで、基本的に各債権者から請求や督促が来なくなります。(⇒受任通知とは
  • また、各債権者への支払いはストップしていただくことになります。

自己破産のデメリット

自宅や車など、一定の財産を処分しなければならない

  • 破産手続開始時に有する財産は、原則として換価、処分の対象となります。もっとも、一定の財産については、法律上当然に換価、処分の対象外とされるなど、例外もあります。(⇒自己破産における財産の処分

ブラックリストに登録され、一定期間、借入れができなくなる

  • 自己破産をしたことが一定期間、事故情報として信用情報機関に登録され、その間、原則としてクレジットカードを利用したり、ローンを組んだり、借入れをすることができなくなります。(⇒ブラックリストとは

職業・資格について一定の制限を受ける

  • 自己破産をしても、原則として仕事に影響はありませんが、例外的に、士業や生命保険募集人、貸金業者、警備員などについては、職業・資格の制限が規定されていて、仕事を継続することができなくなる場合があります。(⇒自己破産における職業・資格の制限

自己破産をしたことが官報に掲載される

  • 自己破産の場合、破産手続開始決定や免責許可決定などの際に官報に掲載されます。官報は誰でも確認することができ、氏名や住所が掲載されるため、自己破産をしたことが周りの人に知られてしまうリスクがあります。(⇒官報とは

保証人に迷惑がかかる

  • 設定された期限まで返済を待ってもらえる権利(分割払いの場合、定められたとおりに分割して支払っていくことができる権利)のことを「期限の利益」といいますが、自己破産の手続きによって、「期限の利益」を失います。債務者本人に対しては請求できなくなるため、債権者が保証人に対して、一括での支払いを求めることが想定されます。
  • 自己破産によって「免責」が認められたとしても、その効果は保証人には及ばないため、保証人の支払い義務は残ってしまいます。そのため、保証人も自己破産をせざるを得なくなる場合もあります。

管財事件となる場合、予納金の負担が大きくなる

  • 一定の財産があったり、免責不許可事由の存在が疑われたりする事案などでは、裁判所によって破産管財人が選任されることがあります(管財事件)。管財事件となる場合、破産管財人の費用として、少なくとも20万円を裁判所に納める必要があり、負担が大きくなります。
  • 同時廃止になるケースと管財事件になるケースの区別については、「同時廃止と管財事件の振り分けの基準」をご確認ください。

 借金でお困りの方のうち、以下のようなケースでは、自己破産の利用が考えられます。

  • 3~5年程度の分割払いでも、借金を完済することが困難である
  • 利息の返済だけで精一杯で、元金を減らす目途が立たない
  • 収入がない、又はほとんどない
  • 生活保護を受給している

 もっとも、どの種類の債務整理を利用すべきかについては、借金の総額や現在の収入、保有する資産、借金をするに至った経緯などによって異なり、慎重な判断を要しますので、一度弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

 自己破産の場合、裁判官との面接や債権者集会のため、債務者自身が裁判所に赴かなければならない場合があります。どこの裁判所に申立てをするかについては、自己破産や個人再生の管轄裁判所をご確認ください。

1