同時廃止と管財事件の振り分けの基準(千葉地裁の基準)は、以下のとおりです。
現金
33万円以上の現金がある場合(直前に現金化されたものを含む)
⇒管財事件
その他の財産
預貯金、保険の解約返戻金、自動車、過払金返還請求権、退職金請求権(原則として8分の1の金額で評価する)などの各項目について、項目ごとの金額の合計額が20万円以上の場合
⇒管財事件
- (例)現金25万円+保険の解約返戻金15万円+預貯金8万円 ⇒原則として同時廃止
- (例)現金25万円+保険の解約返戻金25万円 ⇒原則として管財事件
- (例)現金40万円 ⇒原則として管財事件
所有不動産に設定されている抵当権の被担保債権額が不動産処分予定価格の1.5倍未満の場合
所有不動産があるために上記基準では管財事件となる場合でも、1.5倍以上のオーバーローン状態にあることを明らかにできれば、同時廃止として扱われる可能性があります。
資産調査が必要な場合
代理人が調査を行っても、20万円以上の資産を有していないことが明白でない場合は管財事件として扱われます。自営業者の場合(特に、申立時においても自営を継続している場合)は、このように扱われる可能性が高いです(下記、「個人事業者の扱いについて」をご確認ください)。
法人並存型の場合
法人の代表者は、原則として当該法人と併せて管財事件として扱われます。
免責調査が相当な場合
免責不許可事由の存在が明らかでかつその程度も軽微とは言えない場合には、管財人による調査を行うことが相当だと判断される可能性があります。
個人事業者の扱いについて
個人事業者は、事業の遂行に伴い資産や負債が形成されることが通常であり、管財人による資産調査が必要なことが想定され、原則として管財事件とされます。
(1)事業を継続している場合
破産申立時に事業を継続している場合には、原則、管財事件となります。ただし、雇用に近い形で報酬を得ている個人事業者で、事業用の資産もなく、負債の内容も金融機関等からの借入れのみで、かつ、その額も多額でなければ、同時廃止となる場合もあります。
(2)既に廃業している場合
申立時には既に事業を廃業していても、資産状況について調査する必要がなくなるわけではなく、管財事件とされる可能性が高いです。もっとも、廃業からの経過期間、事業内容や清算状況によっては、同時廃止となる場合もあります。